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被災宅地危険度判定の概要
1 被災宅地危険度判定制度の目的
2 被災宅地危険度判定士とは
3 被災宅地危険度判定の実施
4 判定結果の表示
5 地方自治体の役割
6 制度要綱等
災害対策本部が設置されるような大規模な地震または大雨等によって、宅地が大規模かつ広範囲に被災した場合、要請を受けた被災宅地危険度判定士が危険度判定を実施し、被害の発生状況を迅速かつ的確に把握することにより、宅地の二次災害を軽減・防止し住民の安全を確保することを目的としています。
被災宅地危険度判定士(以下、「宅地判定士」)は、被災した市町村又は都道府県の要請により、宅地の2次災害の危険度を判定する土木、建築等の技術者です。
宅地判定士になるためには、都道府県知事等が実施する被災宅地危険度判定講習会を修了し、危険度判定を適正に執行できると認定され(もしくは同等以上の知識および経験を持つと認められ)、登録される必要があります。平成19年3月現在、全国で約1万5千人を超える宅地判定士が登録されています。
なお、宅地判定士が判定活動をする場合、身分を明らかにするため、認定登録証を携帯し、「被災宅地危険度判定士」と明示した腕章やヘルメットを着用します。
●被災宅地危険度判定士数
宮城県:947名(令和3年3月31日現在)
宅地判定士を含む2~3人が1組になって、調査票等の定められた客観的な基準により、目視できる範囲の箇所について被害状況を調査し、その結果をもとに危険度を判定します。
その際、危険と思われる宅地には立ち入らないで調査することもあります。
宅地判定士は、被災した擁壁、のり面等を含む宅地を対象として、調査票に定められた判定基準により客観的に判定します。
①被害状況確認(擁壁) 全体の被害状況を把握しながら、宅地の平面図、被害箇所の断面図を調査票に記載していきます。 |
②被害状況確認(宅盤) 宅地に亀裂がないか等調査し、宅地全体の被害状況を把握していきます。 |
③被害状況の詳細調査 各被害状況の詳細(亀裂の幅、傾き状況等)を調査し、被害程度に応じて点数をつけていき、各宅地の被害程度を点数化していきます。 |
④調査結果の掲示 各宅地の被害点数に応じて、宅地所有、近隣の住民が余震により二次災害にあわないよう、宅地の状況を周知するため、結果票を目立つ箇所に掲示します。 |
被災宅地危険度判定の結果は、下記の3種類の判定ステッカーを見えやすい場所に表示し、当該宅地の使用者・居住者だけでなく、宅地の付近を通行する歩行者にも安全であるか否かを識別できるようにします。
また、判定ステッカーには、判定結果に基づく対処方法についての簡単な説明や二次災害防止のための処置についても明示します。なお、判定結果についての問い合わせ先もステッカーに表示しています
判定の結果については、3種類(危険宅地、要注意宅地、調査済宅地)の判定ステッカーを当該宅地の使用者・居住者だけでなく、第三者にも容易に分かるように宅地等の見やすい場所に表示します。
判定ステッカーには、判定結果に基づく対処方法や二次災害防止のための方法、判定結果に対する問い合わせ先等を記載します。
「危険」 この宅地に立ち入ることは危険です |
「要注意」 この宅地に入る場合は十分注意してください。 |
「調査済」 この宅地の被災程度は小さいと考えられます |
被災した市町村は、危険度判定の実施主体となって責任を負うとともに、判定結果について宅地所有者等に情報提供を行います。
県は、被災した市町村からの支援要請に基づき、危険度判定を実施するするとともに、必要に応じて他県等へ支援を要請します。また、他県等からの支援要請にも応じます。
・県被災建築物宅地危険度判定要綱
・県被災宅地危険度判定士登録要綱
○被災宅地危険度判定連絡協議会(全国協議会のページ)
被災建築物応急危険度判定の概要
1 被災建築物応急危険度判定とは
2 建築物の地震対策
3 被災建築物応急危険度判定士とは
4 判定士の業務
5 判定結果の表示
6 判定実施時期等
7 宮城県の判定体制
被災建築物応急危険度判定(以下「判定」という。)は、地震被害を受けた建築物について、その後の余震等による倒壊や外壁の落下、ブロック塀の転倒等の危険度を応急的(緊急・暫定的)に判定し、建築物の恒久的な復旧までの立入りや使用等に関する危険情報を提供することにより、人命に係わる二次災害の防止を目的としています。
判定結果は、「調査済」「要注意」「危険」の判定ステッカーを建築物の出入り口等の見やすい場所に表示し、居住者や付近を通行する歩行者等に情報提供し、注意喚起を行います。
判定は、地震(本震)発生後の余震発生の危険性が高い期間中に、多くの建築物の判定を行う必要がありますので、判定の実施には多くの被災建築物応急危険度判定士(以下「判定士」という。)が必要となります。そのため、民間判定士にボランティア協力をいただくことが期待されています。
民間判定士の方々には、阪神・淡路大震災をはじめ、2003年7月の宮城県北部連続地震や2004年10月の新潟県中越地震、2008年6月の岩手・宮城内陸地震、2011年3月の東北地方太平洋沖地震において、ボランティアとして判定の実施に御協力いただいております。建築の専門家である判定士が、被災した建築物を直接見て回ることは、被災建築物に対して不安を抱く被災者の不安緩和(精神的安定)にも繋がり、建築技術者としての大きな社会貢献となります。
地震の発生前,地震直後,地震後の復旧の各々の対策をまとめると下図のようになります。
判定は、地震により被災した建築物の所在する市町村が主体となって、災害対応業務の一つとして実施されます。しかし、東日本大震災のような大規模災害の発生時には、行政だけでは対応が難しく、民間の建築関係団体や建築士等技術者の協力が不可欠となります。
このことから、宮城県では判定士を養成するため、毎年「宮城県被災建築物応急危険度判定技術者講習会」を開催しています。趣旨を御理解いただき、ボランティアとして判定活動に協力いただける建築士等の方に受講いただき、判定士として登録いただいております。登録者には判定士登録証が交付され、県内はもちろん県外の判定活動にも参加することができます。
宮城県の判定士登録の有効期間は5年間であり、期限が切れる際は、更新登録の手続きが必要です。講習会の受講は不要(任意)ですので、更新登録申請書を提出いただきます。
●被災建築物応急危険度判定士登録者数
宮城県: 2,077名(令和3年3月末現在)
全 国: 110,539名(令和3年3月末現在)
●判定資機材の備蓄状況(宮城県備蓄分)
判定調査表 | 木造 | ※枚 |
S造 | ※枚 | |
RC造 | ※枚 | |
※データ保管(必要枚数を印刷対応) | ||
判定ステッカー | 調査済(緑) | 38,000枚 |
要注意(黄) | 19,000枚 | |
危険(赤) | 16,000枚 |
判定士は2人1組のチームで行動し、被災市町村から指示された担当区域内の建築物の判定を行います。判定に要する時間は、木造で10~15分、鉄骨造、鉄筋コンクリート造等で20~30分程度となります。判定活動中は、判定士登録証を携帯し、腕章の着用等により判定士であることを明らかにして行動します。
全国統一様式の「判定調査表」にて、建築物の構造躯体、落下物等の危険性等について調査し、「危険」、「要注意」、「調査済」の3段階の判定を行います。
危 険:損傷が著しく、倒壊などの危険性が高い。使用及び立ち入りは危険。
要注意:損傷は認められるが、注意事項に留意することで立ち入りは可能。
調査済:損傷は少なく、立ち入ることが可能。ただし、応急的な調査であり、余震等で被害進行の可能性もあることに注意。
なお、建築物の所有者等が立ち会う場合は、判定士は判定の目的やステッカーのコメント(危険の内容)を説明し、正しく理解される事に努める必要があります。
色分けした判定ステッカー(「危険」:赤、「要注意」:黄、「調査済」:緑)を建築物の出入口等の見やすい場所に表示します。建築物の所有者だけでなく付近を通行する歩行者等へも、その建築物の危険度を知らせることが重要です。また、判定ステッカーのコメント欄には、建築物の「どこの何が危険なのか」を具体的に記入し、ステッカーを見た人が理解できる内容であることが重要です。
判定は、地震発生後できるだけ速やかに行う必要があります。特に避難施設となる学校や救護施設となる病院等については、優先的に判定する必要があります。また、判定はできるだけ短期間で完了することが望まれますが、市町村実施本部の受入れ体制も考慮し、1~2週間で完了させることをひとつの目安としています。
なお、判定業務は、主に民間判定士にボランティアとして行っていただくことから、勤務する会社の復旧活動や判定士自身の負担等も考慮して、判定士1人当たりの作業日数は連続して3日程度を想定しています。
宮城県では、判定をより迅速かつ的確に実施するため、県、県内市町村、民間建築関係団体及び学識経験者等で構成する「宮城県建築物等地震対策推進協議会」を設立し、県内での判定実施体制や連絡体制等についての協議を行っており、また、「全国被災建築物応急危険度判定協議会」及び「北海道・東北被災建築物応急危険度判定協議会」における広域支援体制の整備により、円滑な判定の実施に向けた体制整備が図られています。